Leader's Voice
ゲームチェンジャー
対応する人によらない再現性を担保する……コンタクトセンター運営のリーディングカンパニーとして長年磨き上げてきたのが業務の「型化」です。ベルシステム24のDNAとも言える型化のメソッドは、それ自体が価値となる大きな可能性を秘めていました。型化メソッドをどうサービスへと展開し、価値につなげるのか、先頭に立って取り組みを進める2人のインタビューをお届けします。
日本電気ホームエレクトロニクス、ディレクティービーなどを経て2004年入社。ソフトバンクのコンタクトセンター業務を全面的に実施するBBコールへ出向し、2010年より同社経営管理室長に就任。ソフトバンクの様々な事業ニーズを実装するビジネスパートナーとして同社を牽引。2015年にベルシステム24に帰任後も、一貫して情報通信領域のクライアントを担当する事業部門をリード。2021年より現職。
2008年入社。様々なクライアントの営業・オペレーション業務を経て、2018年より通販クライアントを担当する製販一体組織の責任者として最大20社・約2,000名のマネジメントを経験。2023年3月、現職に着任。事業部門と連携し、7サービスをリリースするなど、責任者として標準化サービスの企画を推進する。
型化とは、一定以上のスタッフが集まったときに、だれもが同じ対応をできるようにする「再現性」を担保するために業務を型に落とし込むことです。コンタクトセンターの現場では、長年自然に取り組んできたことであり、ベルシステム24のDNAとして根付いています。規定されたプロセスやマネジメントがないと、仕事は属人化しがちです。もちろん、個人の高い能力発揮が求められる局面もありますが、コンタクトセンターやBPOなどの事業では、属人性を排除し、均一な状態で提供することがより強く求められます。働き方や個性を尊重することと、仕事のクオリティを両立する方法の1つが型化であり、ベルシステム24の事業成長を支えてきた最大の要因だと考えています。
コンタクトセンターやBPOにおいて、受託を開始する時点では要件や仕様があいまいで、ヒアリングやアセスメントをもとに型化するところから始まるケースが多くあります。あるとき、クライアントから相談されたことがきっかけで、我々が当たり前に続けてきたプロセスはある種のコンサルティングであり、新たなビジネスとしてお客様に価値を提供できるのではないかと気づき、3年ほど前に「BPRコンサルティング」としてサービス化しました。同時に社員のスキルアップ・リスキリングも進め、現在では約100名のコンタクトセンター運用経験者がコンサルタントとして活躍しています。BPRコンサルティングでは、大手コンサルティング会社がおこなう事業戦略や経営課題などの領域とは異なり、「営業部門の残業が多い」のような業務レベルの課題を対象としています。大きな投資と期間をかけずに業務改善を実現できる"ちょうどいいコンサルティング"としてクライアントにも評価いただいています。また、提案して終わりとなる一過性のサービスではなく、提案後のフォローまで継続的に伴走することが強みです。
株式会社ベルシステム24 執行役員 第3事業本部長 長谷川 文彦
1つ挙げられるのは、コンタクトセンター事業における在宅オペレーションです。コロナ禍で急速にニーズが高まり、高いセキュリティを施したシステムから採用・研修・雇用契約まですべてを型化し、短期間で多くのクライアントの業務に導入しました。コンタクトセンターの案件では在宅オペレーションを必ず提案に入れるようになり、大きな武器になっています。ほかにもコンタクトセンター事業で培ってきた採用のノウハウやメソッドを型化し、採用代行のサービスも立ち上げています。当社が受託する業務で磨いてきた型化のプロセスを、抽象度を高めることでサービスとして外販できるようになりました。これを標準化サービスと呼んでいますが、「型化メソッドをサービス化する」プロセス自体も型化していますし、あらゆる業務にビジネスの種があると感じています。
当社のDNAでもある型化は、多くの業務現場で日常的におこなわれている反面、横の連携が弱く各現場に閉じてしまいがちな面もありました。そこで、チャットツールを活用した交流の場を設けるなど、日々の現場の知恵を集約するとともに、新しい知恵が出るような環境づくりを進めています。さらに、スキルやノウハウの掛け合わせ・共有が加速するよう、定期的な人材ローテーションもおこなっています。また、年1回の社内アワードで各部署から型化の取り組みを集めて表彰する際には、他部署にも展開できる「流用性」を重視しています。実際、表彰された部署には問い合わせが多く寄せられ、全社へと広がっていく流れができているように思います。
これまで現場で自然とやってきた型化から、新たなビジネスを創出できるという気づきから、積極的に進化させようという雰囲気が醸成されてきました。型化メソッドを発展させ、我々の得意技をお客様に提供できる価値にまで昇華させることで、新たな領域でのBPOでの価値向上にもつながるはずです。
株式会社ベルシステム24 事業統括部 サービス企画局長 村田 尚哉
現場のスタッフ自身が気づいていなくても、日々の業務のなかには顧客価値として汎用化できる種があり、それらをサービスに組み上げるプロセスも型化だと考えています。また、当社は資本提携しているパートナーをはじめ幅広くアライアンスを組める体制があります。現場から生まれるものに外部の専門性をプラスすることで、中長期的な視点でのサービス設計が可能になります。どちらもベースには型化があり、サービス化の鍵を握る重要な要素だと考えています。
現在7サービスを展開しており、DtoC施策を支援する「リアルプロモーションCRM」や、AIで顧客をスコアリングし、各種施策に活かす「AIスコアリングアウトバウンド」などがあります。リアルプロモーションCRMはエスプールセールスサポート社と、AIスコアリングアウトバウンドはThinker社と共同で提供しており、どちらも協力企業と当社の強みをかけあわせたサービスになっています。また、新しいサービスを作っても、再現性高く実行できなければ意味がありません。そこで、並行して社内オペレーションの型化も進めています。たとえば、AIスコアリングアウトバウンドならば、データ分析などの専門知識を持つメンバーが現場に入り、活用が軌道に乗るまでサポートします。これにより、現場のメンバーもスムーズに新しいスキル・知識が身につき、一気にサービスを展開できるようになります。
リアルプロモーションCRM
技術が発展し、消費行動も大きく変化するなかで、従来のコンタクトセンターではクライアントのニーズに応えきれなくなっています。しかし、社内にはサービス化できるものがまだ多くあり、それにいかに気づいていくかが私たちのミッションです。再現性を担保する"型化"は当社の強みであり、これにアライアンスを掛け合わせることで、BPO領域を牽引するようなサービスを提供していきたいと考えています。
以前から在宅化の取り組みは進めていましたが、コロナ禍を機にBCP対策の一環として多くのお客様に採用いただくことになり、2020年には100ブース、2021年には1,300ブースと一気に拡大し、現在は3,000ブースまで増えています。拠点拡張を抑えることによるコスト削減、人員確保などの観点からも在宅オペレーションの意義は大きく、セキュリティやネットワークなどのインフラが整ったことも後押しとなりました。現在は、拠点での運用を前提としない完全在宅化も進めており、面接や入社手続き、研修まで1度も出社せずに完結できる業務も存在します。
拠点という同じ場所で業務を行うことが前提だった設計を、イチから見直し、インフラだけでなくコミュニケーションや研修、マネジメントの仕組みまで在宅オペレーションに必要な要素を包括的に確立しました。情報システムや人事、法務など社内の専門部門にも協力を仰いで型化していきました。このノウハウや知見は、内製コンタクトセンターの在宅化を目指す企業を支援する「在宅業務コンサルティング」としてサービス化しています。
在宅オペレーションを実現する6つの型化
在宅勤務可能と謳った求人への応募が2.5倍に増え、人材確保のメリットは大きいです。また、拠点拡張を抑制することで、コスト削減になりますし、スピーディな立ち上げが可能になります。全国から人を集めて、時間にあわせてピンポイントで働けるようになるため、「コマーシャルが流れた直後だけ増員する」などのニーズにもより柔軟に対応できます。また、在宅が可能になることで、有資格者などの専門家に短時間だけ対応してもらう、といったことも可能になり、総合BPOを進めるうえでも、様々な分野の専門家を確保しやすいことは差別化要因になると考えています。
コンタクトセンター事業に根付いているDNAは、現場業務を効率化するだけではなく、型化のプロセス自体を「BPRコンサルティング」としてサービス化するなど、新たな価値を生み出している。当たり前にしてきたからこそ、価値に気づかなかった「型化」を自社の強みへと転換し、標準化サービスとして顧客に提供。変化し続けるニーズに応えられる存在を目指す。
社員一人ひとりが「その声に、どうこたえるか。」を胸に、課題に挑むプロジェクトストーリー
現場のノウハウを活用したBPRコンサルティングを適用し、ドコモgaccoの目指す世界を共創
「人と働き方の多様性」に向け、ダブルジョブ/ダブルワーク制度を導入したダイバーシティ担当者の挑戦
コロナ禍や不確実な国際情勢を受け、国内企業の多くが会社のあり方を見直すなか、自社だけでなくパートナーのリソースも活用してより強固で柔軟な体制づくりを加速しようとする企業が増えています。活性化するBPO市場において、中期経営計画で「NEW BPO」を掲げ事業の多角化を進めるベルシステム24では、資本提携や業務提携などアライアンスを積極的に進めています。その狙いやここまでの成果、今後のビジョンについて聞きました。
AIが登場して以降、淘汰される業種のひとつとされてきたコンタクトセンターだが、生成AI元年と言われる2023年を迎えた今、市場規模に大きな変化は見られない。一方で、生成AIの主要ベンダーは、学習データとしてコンタクトセンターに蓄積される膨大な対話データ(VoC)に注目しており、コンタクトセンターがキープレイヤーとなる可能性も出てきた。生成AIを脅威と見做すか、イノベーションをもたらす強力な武器と考えるか、ベルシステム24の答えとは?
コンタクトセンター受託を主力とし、グローバルで4万人超の従業員を抱えるベルシステム24。データドリブンでセンター業務を変革し総合BPOパートナーを目指す同社の取り組みについて、現状や見えてきた未来、顧客に提供し得る新しい価値など、DXを牽引する3人が語ります。
社会の急速な変化を受け、日々変わっていくクライアントのニーズにどう対応するか ――― ベルシステム24が出した答えは、営業とオペレーションが分離していた“製販分離組織”を“製販一体組織”に変え、各クライアントの責任者を「アカウントオーナー」とする制度でした。アカウントオーナーが目指す理想とあわせ、実際のクライアントとの関わり方、さらに制度にあわせた人材育成まで詳しく聞きました。
定型業務でも属人化が進み、業務改革や人材の流動化が進まない傾向にある経理・人事領域。コンタクトセンター以外の事業で多角化を図るベルシステム24は、経理・人事領域を得意とする株式会社レイヤーズ・コンサルティング(以下、レイヤーズ)と資本提携。2022年3月にHorizon Oneを設立し、経理・人事BPO市場に参入しました。Horizon One設立の経緯や目的、ここまでの取り組みの成果や今後のビジョンなどについて聞きました。
これまでのカスタマーサポート型コンタクトセンター市場の成熟化を背景に、VOCセントリックのデータマーケティング事業で、コンタクトセンターからマーケティングセンターへの進化を遂げるベルシステム24。既に専門企業がひしめく市場で勝算はあるのか?"蕎麦屋のカレー"が意図するデータマーケティングの形とは?
2023年9月に養豚経営支援システム「Porker」を手がける株式会社Eco-Porkと資本業務提携、さらに2024年4月にはNTTテクノクロス株式会社との共同サービスとして牛の起立困難予防声かけAIサービス「BUJIDAS(ブジダス)」を提供開始し、一次産業への取り組みを推進するベルシステム24。既存のBPO業務で培ったノウハウは業界が抱える課題を解決へと導く起爆剤になる……その背景にある熱い想いについてプロジェクトを率いる2名に話を聞きました。
“デジタル田園都市国家構想”の実現に向けて年間1,000億円規模の交付金が予算化され、全国の自治体でDXの取り組みが一斉に進むなか、自治体向けシステムで実績豊富な株式会社Blueship(以下Blueship)とタッグを組み、自治体BPO事業の拡大を目指すベルシステム24。民間にはない公共ならではの要件や、対応するうえでの工夫や苦労、社内で「藤沢モデル」と呼ぶ成功事例の詳細などについて聞きました。