Leader's Voice
「その声」にこたえる共創
定型業務でも属人化が進み、業務改革や人材の流動化が進まない傾向にある経理・人事領域。コンタクトセンター以外の事業で多角化を図るベルシステム24は、経理・人事領域を得意とする株式会社レイヤーズ・コンサルティング(以下、レイヤーズ)と資本提携。2022年3月にHorizon Oneを設立し、経理・人事BPO市場に参入しました。Horizon One設立の経緯や目的、ここまでの取り組みの成果や今後のビジョンなどについて聞きました。
1998年新卒入社。首都圏での新規クライアント開発営業の後、2004年金融事業本部・営業グループ長、2008年同本部オペレーション局長に就任。2011年人材開発部にて採用・教育領域および全社人事システムリプレイスのプロジェクト責任者を経て、事業部長、事業本部長などを歴任。2021年3月より執行役員に就任。
2001年入社。札幌ソリューションセンターにて、情報通信関連、金融、公共関連のオペレーションに従事の後、オペレーショングループマネージャーを経て2015年3月札幌ソリューションセンターの局長に就任。2019年3月より第1事業本部第4事業部長としてアカウントマネジメントを推進、2022年3月Horizon One株式会社設立時に代表取締役副社長に就任。
ベルシステム24としては、主力のコンタクトセンタービジネスが成熟化するなか、新たな柱となる事業の創出が必要でした。もともと経理・人事領域についてはBPOとの相性が良く、当社でもすでに一定の実績があり、一部には競争が厳しいレッドオーシャンなのではという意見もありましたが、コンサルティングなどの上流工程に踏み込み、人材不足や属人化などお客様の課題解決を支援できれば、まだ可能性はあると考えました。また、これだけデジタル化が進みDXが叫ばれている今日においても、いまだに紙ベースで業務の進め方も人によってバラバラ、デジタル化の前提となる業務の標準化も進んでいないケースも多く、当社が長年磨いてきた型化のメソドロジーが必ず役に立つとの想いもありました。
当社の事業開発本部において経理・人事領域に強いパートナーとのアライアンスを検討した結果、レイヤーズ社との資本提携が決まり、2022年3月にHorizon One株式会社(以下、Horizon One)を設立しました。実は、私が人事部に所属していたタイミングで人事システムのリプレイスがあり、その時の人事コンサルタントがレイヤーズでした。長期にわたりスタッフが常駐されるなかで、社風や文化などの面で当社と相性が良さそうだと感じていたことや、当社の事業モデルについて深く理解しているという安心感もあり、一役員として、事業開発本部の資本提携の提案に賛成しました。ライバルとなる外資系のコンサル企業が、BPOを含む包括的な提案を仕掛けてくるのに対し、レイヤーズは上流のコンサルティングがメインで、運用のBPOを得意とする当社とまさに相互補完の関係にあったことや、内資の経理・人事専門会社としての歴史や実績などが最終的に決め手になりました。
株式会社ベルシステム24 執行役員 第2事業本部長 平野 隆之
Horizon One は現在、伊藤忠グループからの紹介案件のほか、上流を専門とするレイヤーズが下流まで押さえにいくケース、逆に当社がお客様に対し上流の提案を行うケースと、3つの商流で営業活動を展開しています。そうした活動の中で生み出したのが 、クライアントの人材ごと業務を受け入れる「人材受入モデル」です。経理・人事BPOで業務をアウトソースする企業では、これまでその業務に携わってきた専門人材をどうするかが必ず問題になります。そこで業務と専門人材をセットでHorizon Oneで受け入れ、様々な企業の経理・人事業務に携わっていただくなかでリスキリングを進めるというユニークな取り組みにチャレンジしました。受け入れた人材はそのままHorizon Oneで働き続けることもできますが、新しいスキルを身につけて会社に戻るケースもあります。お客様は、人材の再配置などで悩むことなく業務のアウトソースが可能になり、数年後にリスキリングされた人材を再び迎え入れることで、流動性向上も期待できます。ステークホルダーである伊藤忠グループの複数社での試行錯誤で得た成功体験を元に、人材受け入れサービスで差異化を図り営業を進めていますが、同様の悩みを抱える企業は多く大きな手応えを感じています。もうひとつ、最近戦略的に打ち出しているのがリショアリング市場開発です。一時期、経理・人事業務のオフショアBPOが盛んに行われましたが、ここにきて業務委託先のカントリーリスクや情報セキュリティといった理由から国内回帰するケースが増えており、人材受入モデルで専門人材を拡充しながら、リショアリングのニーズに対応していく計画です。
当社の中期経営計画でも、コンタクトセンター以外に柱となるBPOビジネスを切り拓く"NEW BPO"を掲げており、Horizon Oneにおける経理・人事BPOの取り組みは社内でも注目されています。既存のクライアントに対し、幅広い領域に対応するBPO企業として改めてアプローチするなかで、これまで接点がなかった部門の方ともお会いできるようになり、お客様側でも多様な事業課題を相談できるパートナーとしての認知が高まっています。きわめて経営の中枢に近い、経理・人事領域の提案ということもあり、クライアント企業の役員クラスとお会いする機会も多く、様々な提案を行うなかで我々の視座も高まってきたように感じます。経理・人事BPOは、お客様の経営課題を捉えて提案につなげるきっかけ作りとして極めて有効ですが、さらにソリューションの領域を拡げることも重要だと思います。経理・人事BPOビジネスを引き続き深耕しつつ、お客様の多様な経営課題に対応する"NEW BPO"を次々に開発して総合BPO企業を目指したいと思います。
Horizon One株式会社 代表取締役副社長 福田 康晴
BPOメンバーは全て実務経験者で構成し、税理士法人や社会保険労務士法人もHorizon Oneと併設しているため、他のBPO会社では残置業務となりがちな専門業務のBPOにも対応できることが特徴です。また、より高度な経営戦略の領域も、コンサルタントがご支援することができます。サービス面では「人材受入モデル」と「マッハBPO」に独自性があります。まず「人材受入モデル」ですが、定型業務をアウトソースしてスリム化するだけでなく、業務再編を大胆に進めて人材の流動性を高めたいというニーズに対応するものです。業務とその業務に携わっていた人材をまとめて受け入れ、新しい環境、新しい業務に従事する中でリスキリングを施すことで、こうした時代のニーズの変化に応えることができます。むしろ、業務のスリム化より人材の流動化やリスキリングに魅力を感じているお客様(特に経営層)が多いように感じます。競争力強化に向けて新規事業を短期間で立ち上げたい、でも、そのために間接部門を増強するのは避けたい......といったお客様ニーズに応えるのが「マッハBPO」です。Horizon Oneで経理・人事の人的リソースを提供したり、システム構築や業務設計などの業務をお手伝いすることで、お客様は間接部門のリソース制約を受けずに、1~2ヶ月の短期間で新規事業を立ち上げることも可能です。現在Horizon Oneは、首都圏に比べ賃金水準や地価が低い熊本で拠点拡充を進めています。補助金を含め支援策も手厚いことから、同様に拠点を置く競合事業者も多く、経理・人事など間接部門BPOビジネスの一大集積地になっています。受入人材は、基本的に居住地を変更することなく、在宅勤務もしくは目黒にあるレイヤーズのオフィス内に設けたHorizon Oneのスペースで勤務しており、熊本の拠点はBPO運用センターの位置づけです。具体的には、お客様の業務全体を可視化したうえで、お客様に残す業務、センターで受ける業務、在宅スタッフ向けの業務を適切に切り分けて配分し、それぞれの連携・進捗を管理するのが役割となります。このあたりは、セキュリティや品質を担保しつつ在宅コンタクトセンターにいち早く取り組んできた、ベルシステム24の運用ノウハウが活かされています。
Horizon Oneのサービス提供スキーム
リショアリングについては、オフショア先の人件費が上昇する一方で、運用の難しさなどからオフショアできない業務がいまだ多く残っており、期待していたほどのメリットが見込めなくなってきたことが大きいと思います。こうした理由からリショアリングを検討するお客様に対し、当社は、経理・人事の業務経験が豊富な専門人材を多く抱え、日本品質の運用を低コストで提供するといった強みを積極的に打ち出し営業を進めています。とはいえ、国内のBPOセンターでは人材不足が深刻化しており、リショアリングに対応する人材確保が大きな課題となりますが、当社の場合、経験豊富な専門人材を受け入れて社員として雇用する人材受入モデルで人材を確保できます。リショアリング・ニーズに対応するだけでなく、高度な専門知識が必要でこれまでオフショアし切れなかった残置業務も受託することで、お客様にとって業務と組織の再編を一気に実現できる魅力的な選択肢となっています。リショアリング・ニーズを捉えて大規模BPOにつながる事例も増えつつあります。某大手企業では、グループ会社200社が利用する経理業務のシェアードサービスの運用をオフショアされていましたが、いくつかの理由からリショアリングを検討されるなかでHorizon Oneをお選びいただきました。すでに熊本のセンターにて運用を開始しており、引き続き、センターを拡張しながら、3~5年をかけて各社の国内残置業務を移管していく計画です。こちらのケースでもやはり決め手となったのは"日本品質BPO"でした。該当業務についてお客様と同じ目線・感覚で会話できる安心感を高く評価いただいたと承知しています。
Horizon OneリショアリングBPOの特長
専門人材のリスキリングまで視野に入れた独自の人材受入モデルで、競合大手との差異化を図るHorizon Oneは、リショアリングや残置業務のニアショアを検討する企業にとって魅力的なパートナーとなっている。今後も、人事・経理領域以外へのサービス拡張を含めBPOビジネスを推進することで、国内企業の競争力向上、ひいては日本の未来創生に貢献していく考えだ。
社員一人ひとりが「その声に、どうこたえるか。」を胸に、課題に挑むプロジェクトストーリー
人事・経理業務での人材流動化を実現し、日本企業の競争力向上に貢献するために立ち上がった「HorizonOne」
コロナ禍や不確実な国際情勢を受け、国内企業の多くが会社のあり方を見直すなか、自社だけでなくパートナーのリソースも活用してより強固で柔軟な体制づくりを加速しようとする企業が増えています。活性化するBPO市場において、中期経営計画で「NEW BPO」を掲げ事業の多角化を進めるベルシステム24では、資本提携や業務提携などアライアンスを積極的に進めています。その狙いやここまでの成果、今後のビジョンについて聞きました。
対応する人によらない再現性を担保する……コンタクトセンター運営のリーディングカンパニーとして長年磨き上げてきたのが業務の「型化」です。ベルシステム24のDNAとも言える型化のメソッドは、それ自体が価値となる大きな可能性を秘めていました。型化メソッドをどうサービスへと展開し、価値につなげるのか、先頭に立って取り組みを進める2人のインタビューをお届けします。
AIが登場して以降、淘汰される業種のひとつとされてきたコンタクトセンターだが、生成AI元年と言われる2023年を迎えた今、市場規模に大きな変化は見られない。一方で、生成AIの主要ベンダーは、学習データとしてコンタクトセンターに蓄積される膨大な対話データ(VoC)に注目しており、コンタクトセンターがキープレイヤーとなる可能性も出てきた。生成AIを脅威と見做すか、イノベーションをもたらす強力な武器と考えるか、ベルシステム24の答えとは?
コンタクトセンター受託を主力とし、グローバルで4万人超の従業員を抱えるベルシステム24。データドリブンでセンター業務を変革し総合BPOパートナーを目指す同社の取り組みについて、現状や見えてきた未来、顧客に提供し得る新しい価値など、DXを牽引する3人が語ります。
社会の急速な変化を受け、日々変わっていくクライアントのニーズにどう対応するか ――― ベルシステム24が出した答えは、営業とオペレーションが分離していた“製販分離組織”を“製販一体組織”に変え、各クライアントの責任者を「アカウントオーナー」とする制度でした。アカウントオーナーが目指す理想とあわせ、実際のクライアントとの関わり方、さらに制度にあわせた人材育成まで詳しく聞きました。
これまでのカスタマーサポート型コンタクトセンター市場の成熟化を背景に、VOCセントリックのデータマーケティング事業で、コンタクトセンターからマーケティングセンターへの進化を遂げるベルシステム24。既に専門企業がひしめく市場で勝算はあるのか?"蕎麦屋のカレー"が意図するデータマーケティングの形とは?
2023年9月に養豚経営支援システム「Porker」を手がける株式会社Eco-Porkと資本業務提携、さらに2024年4月にはNTTテクノクロス株式会社との共同サービスとして牛の起立困難予防声かけAIサービス「BUJIDAS(ブジダス)」を提供開始し、一次産業への取り組みを推進するベルシステム24。既存のBPO業務で培ったノウハウは業界が抱える課題を解決へと導く起爆剤になる……その背景にある熱い想いについてプロジェクトを率いる2名に話を聞きました。
“デジタル田園都市国家構想”の実現に向けて年間1,000億円規模の交付金が予算化され、全国の自治体でDXの取り組みが一斉に進むなか、自治体向けシステムで実績豊富な株式会社Blueship(以下Blueship)とタッグを組み、自治体BPO事業の拡大を目指すベルシステム24。民間にはない公共ならではの要件や、対応するうえでの工夫や苦労、社内で「藤沢モデル」と呼ぶ成功事例の詳細などについて聞きました。