昨今、我が国でもESG投資や国連の持続可能な開発目標(SDGs)への関心が急速に高まっています。これは、企業が単に株主価値を増大させるのみならず、社会に対しての価値創造を行うことが求められる時代になっていることを意味しています。ベルシステム24では、従来からそのパーパスの中で、企業としての持続的な成長のみならず、社員と社会に対する配慮が明確に言及されていました。今回、パーパスを実現するため、重要な5つの課題を特定したこと、さらにこれらの課題に対する注力施策を具体的項目に落とし込んだことで、諸施策のパーパスへの道筋がより明確になったと言えるでしょう。
コールセンター事業の中心が人材であることは言うまでもありませんが、多様な人材を引きつけ、パフォーマンスを向上させていくことは、この事業を支える中核的な要素と言えます。すでに、ベルシステム24では、女性活躍推進企業として、「なでしこ銘柄」に選定、また、子育てサポート企業として「プラチナくるみん」の認定を受けるなど、施策の成果も徐々に見え始めています。また、現在の事業を継続するための大きなリスクである情報管理は企業の存続に関わる重要課題であることは言うまでもありません。一方で、AIをはじめとするイノベーションは、コールセンタービジネスを根本から革新する可能性も秘めています。また、地域社会との関連という一見、事業に直結しないように見える課題もリストされていますが、地域に信頼され、受け入れられる企業であるからこそ、将来的に人材を引き付ける力となると考えれば、戦略的な課題設定と言えるでしょう。こうした意味から、今回特定された一連の重要課題と注力施策は、現在のみならず将来的な方向性も踏まえた形のバランスの良いものとなっていると言えるでしょう。
また、多様なステークホルダーを意識したステークホルダー・エンゲージメント方針と人権、環境、社会貢献の3つの方針もベルシステム24の事業との関連性を踏まえ、かつ、わかりやすい形に整理されていると思われます。
もちろん、課題の特定や方針の策定は、取り組みの第一歩にすぎません。次のステップとして、どのような計画で諸施策を実施し、目指すべき目標をより明確にした上で、取り組みを進めることが必要です。そのような着実な取り組みを通じ、パーパスに謳われているような「社会の豊かさを支える」コミュニケーション・インフラ企業への飛躍を遂げることを期待します。