信頼と責任に基づくAI倫理ポリシー
信頼と責任に基づくAI倫理ポリシー
(Ethics Policy for Trustworthy and Responsible AI)
私たちは、「社会の豊かさを支える」というパーパスのもと、複雑化・高度化する社会課題を解決すると同時に、新たな価値の創造を目指しています。人工知能(AI)は、このパーパスを実現し、人間の可能性や創造性を飛躍的に拡張させる強力な鍵であると考えています。
一方で、AIがもたらす革新的な恩恵は、「信頼」と、開発・提供・利用における「責任」の上に成り立つものでなければなりません。私たちは、AIが社会に深く浸透していく過程において生じうるリスクを考え、人間の尊厳と人権の尊重、公平性、透明性、そして安全性に対する社会的責任をこれまで以上に重く受け止めています。
AIを単なる効率化の道具に閉じ込めるのではなく、人々のウェルビーイングを向上させ、持続可能な未来を築くための良きパートナーとするために、以下の通り「信頼と責任に基づくAI倫理ポリシー」を定めます。
本ポリシーを、私たちの全ての事業活動の指針とし、ステークホルダーの皆様と共に、誠実で透明性の高いAI社会の実現に貢献していきます。
1. 人間中心
- 人間の尊厳・基本的人権の尊重
人工知能AIを、人間の能力を拡張し、社会の豊かさと課題解決に寄与する手段と位置づけ、人間中心の考えを原則とします。すべての事業活動において、人々の尊厳と基本的人権を尊重し、国際規範及び各国の法令、社内の「人権方針」を、AIの開発、提供及び利用の全フェーズにおいて遵守します
- 心理的ウェルビーイングへの配慮
AIの活用が、人間の精神的な健康や幸福感に負の影響を与えないよう努めます。不当な心理的操作(ダークパターン等)、利用者の脆弱性の悪用、ソーシャルスコアリング、及び適切な同意のない生体識別等の行為を排し、設計段階から心理的ウェルビーイングの向上に配慮します。くわえて、AIの導入が人間の労働や役割に与える影響を考え、過度な雇用への不安や労働意欲の阻害を招かないよう、人間ならではの新たな価値や創造性の発揮を支援することにより、社会、組織、そして個人の心理的安全性の確保に努めます
- 人間による介在と制御
生命、身体、財産等に重大な影響を及ぼすことを防ぐために、AIの判断については、適宜、人間が介在・制御できる状態を目指し、AIの過剰な自律性に対する、適切なオーバーライドの制御機能を確保します
- 利用者の意思決定への配慮
利用者に対し、適時かつ適切な情報提供を行い、判断・操作・選択の自由を妨げないよう配慮します。利用者が自らの意図通りにAIを制御できるインターフェースの提供を通じて、個人の自律性を支援します
- 教育と啓発
本ポリシーを具現化するため、従業員等に対して継続的な教育・研修を実施し、AI倫理に関する高い意識とリテラシーの向上を図ります
2. 多様性・包摂性の確保
- インクルーシブな設計の推進 (アクセシビリティ)
AIがもたらす便益をあらゆる人々に広げるため、社会的マイノリティを含む多様な利用者に配慮した設計を行います。身体的特性、認知能力、言語、利用環境等にかかわらず、誰もが障壁なくサービスを享受できるよう、ユニバーサルデザインの追求とアクセシビリティの向上に努めます
- 多様な視点の反映
AIの開発・評価プロセス全体において、多様なバックグラウンドを持つステークホルダーの視点を取り入れるよう努めます。国や地域、言語における文化・慣習・表現の差異等を考慮し、特定の価値観に偏った学習データやアルゴリズムによる不適切なバイアスを検知・緩和することで、設計上の偏りを防ぎます
3. 持続可能な社会の実現
- デジタル格差の解消
AIによるイノベーションが新たな格差を生むことのないよう、AIリテラシー教育の機会の提供や、誰もが使いやすいインターフェースの開発を通じて、公平な機会を提供します
- 環境負荷の低減
社内の「環境方針」に基づき、AIのモデルの学習や、データセンターの運用におけるエネルギー効率の最適化を推進します。技術選定にあたっては、温室効果ガスの排出抑制及び生態系への影響がより低い選択を優先します
4. 社会への責任と貢献
- 社会課題解決への寄与
私たちのパーパスである「社会の豊かさを支える」ことの実現と、持続可能な開発目標(SDGs)達成への、AIのポテンシャルを最大限に引き出し、深刻化する社会課題の解決に積極的に貢献します
- コンプライアンスとインテグリティ
AI関連の法規制遵守を徹底する体制を確立するとともに、従業員一人ひとりが高い倫理観(インテグリティ)を持って社会に対する責任を果たします
- 権利の保護と尊重
AIの開発・利用等において、著作権、特許権、その他の知的財産権を含む第三者の権利を侵害しないよう、厳格な管理と確認プロセスを運用します
- ステークホルダーとの対話
多様なステークホルダーとの透明性の高い対話を促進し、産官学連携や相互協力を通じて、信頼されるAI社会の構築に貢献していきます
- サプライチェーンにおける責任
AIに関連する取引先や協力会社に対しても、本ポリシーの趣旨への理解と賛同を求め、サプライチェーン全体で責任あるAIの社会の実現を推進していきます
5. 人間の判断の関与・制御可能性の実現
- 効果的な監督体制
AIの開発から運用に至る全てのライフサイクルにおいて、人間による適切な監督が行われる体制を構築します。特に、重大なリスクが予見される場合には、人間が最終的な判断を下し、予期せぬ挙動に対する停止権限を明確にします
- 不当な操作の禁止
人間の自由な意思決定や認知を、意識できないレベルで不当に操作することを目的としたAIの開発・提供及び人間の脆弱性を悪用した誘導は行いません
6. 安全性・セキュリティの確保
- 身体的・精神的安全性の確保
AIの利用が身体的危害のみならず、精神的な苦痛や社会的不利益を与えないよう、設計上の安全策を徹底します
- 適正な利用範囲の提示
AIの機能、限界及び想定されるリスクを開示し、誤用や過信による事故を防止するため、適正な利用方法を提示します
- リスクベース・アプローチの実施
AIの用途に応じたリスク評価を行い、その影響度に見合った適切な安全対策とリスク低減措置を講じるとともに、運用開始後も継続的なモニタリングを実施します
- データの質の管理とバイアスの回避
AIが適正な学習を行うため、データの正確性・網羅性を確保し、学習データに含まれる潜在的なバイアス(偏り)を検知・緩和するための管理プロセスを運用します
- サイバーセキュリティと事後対応
サイバー攻撃や不正利用からAIシステムを保護するため、強固なセキュリティ対策を講じ、システムの堅牢性を確保します。インシデント発生時には、速やかに関係者と協力して被害拡大の防止と再発防止に努めます
- 相互運用性の確保
国際的な標準規格への準拠に努め、異なるシステム間での相互接続性や相互運用性を確保することで、社会全体の安全性を高めていきます
7. プライバシーの保護
- データガバナンスの徹底
不適切な手段で取得されたデータや、品質に疑義のあるデータがAIの学習に利用されることを防止するため、厳格なデータガバナンスを適用していきます
- プライバシーの尊重と法的遵守
社内の「個人情報保護方針」、「パーソナルデータ指針」及び関連法令を遵守し、個人情報のみならずプライバシーに関連するあらゆる情報を適切に保護・管理します。既存の個人情報保護管理体制に基づき、利用目的の開示、本人同意の取得、照会・利用停止等の要望への適切な対応を通じて透明性を確保します。また、データの越境移転に際しては、移転先国の規制やリスクを評価し、適切な法的措置を講じます。あわせて、設計段階からプライバシーを保護する「プライバシー・バイ・デザイン」の考え方を推進します
8. 公平性と非差別
- 不当な差別の防止
特定の属性(人種、性別、性的指向、性同一性または性表現、言語、信条、宗教、政治的意見、社会的地位、障がい、年齢、家族関係(配偶者の有無など)等)に基づいて、AIが不当な差別や不利益をもたらすことがないよう、公平性の確保に努めます
- 不適切なバイアスの検知と緩和
AIの判断結果に偏りが生じる可能性を常に認識し、学習データ、アルゴリズム及びアウトプットに含まれる潜在的なバイアスを技術的・組織的に評価し、偏りが確認された場合には、その緩和に向けた適切な措置を行います
9. 説明責任と透明性の実現
- 説明可能性の追求
AIによる判断プロセスの透明性を高め、その結果に対する論理的な説明が可能な技術(Explainable AI)の構築に努めます
- 誠実な情報開示
AIを利用している事実、データの取得・活用方法及びその動作結果の適切性について、技術的・社会的合理性の範囲内で、利用者に対し誠実かつ理解しやすい形で説明を行います
- トレーサビリティの確保
AIの判断根拠となるデータや処理プロセスの履歴(ログ)等を適切に保存し、事後の検証が可能なトレーサビリティを確保していきます
- 責任体制の明確化
AIの開発、提供、運用における責任の所在を明確化し、社会に対する説明責任を果たせるガバナンス体制を維持します
10. 本ポリシーの運用
本ポリシーは、取締役会が承認し、監督します。社会情勢、技術動向、法規制の変化に応じて、適宜見直しと改定を行います。
株式会社ベルシステム24ホールディングス
代表取締役 社長執行役員 CEO
梶原 浩
