Vision コンタクトセンターで培った強みを活かし、データマーケティング事業に展開
顧客の自己解決力が高まり、コンタクトセンターに対するニーズも変化
データマーケティング事業に注力する背景について教えてください
デジタル化によって顧客(エンドユーザー)と常時つながることで、顧客の行動がデータで可視化され、その背景にある心理まで分かるようになりつつあります。生成AIなど新しい技術の登場によりコンタクトセンターに電話をしなくても自己解決ができる未来が見えてきた一方で、デジタル化が進むほど顧客とつながることの重要性は高まっていきます。コンタクトセンタービジネスを取り巻く環境が今後大きく変わっていくなか、他社に先駆けVOC(Voice of Customer)を活用した新たな事業(データマーケティング)に取り組むのは今しかないという思いです。
ベルシステム24ならではの強みを活かしたカスタマーサクセスを実現
VOCセントリックなデータマーケティングとはどういったものですか
我々は、カスタマーサポートではなくカスタマーサクセスにシフトしようとしています。その場で顧客の課題を解決して終わりでなく、データ統合技術(CDP)なども駆使して潜在的なニーズを把握してカスタマーサクセスを実現する施策を打っていく。私はよく"蕎麦屋のカレー"と言っているのですが、40年以上コンタクトセンター事業で培ってきた我々にとっての"秘伝の出汁"は、クライアントに代わって顧客と向き合いVOCを蓄積していること、さらに、その運用を安定して継続し、体系化、型化、再現性の仕組みが整っていることです。マーケティング施策の根拠となるVOCの重要性は言うまでもありませんが、顧客の心理やニーズの機微を読み取るためには、継続的に顧客とつながり洞察し続ける体制や仕組みが不可欠で、そこに勝機があると考えました。

株式会社ベルシステム24 データマーケティング事業部長 永尾 啓一郎
3社とのパートナーシップでデータマーケティングの提案を加速
協業を進めるデータマーケティング企業の特長や成果について教えてください
コンタクトセンターからの提案をマーケティング部門に聞いていただくために、既にデータマーケティングの領域で実績やブランドを持つ企業との協業を進めることにしました。現在、3社と協業を進めていますが、特に今後のデータマーケティング事業の中核を担う存在として期待しているのが、2023年9月に子会社化した株式会社Thinker(以下、Thinker)です。設立約7年で20名ほどのベンチャーですが、AI活用によるロイヤル顧客分析を強みとしていて、どの顧客がロイヤル顧客になっていくかターゲティングするデータ分析力は業界トップクラスだと思います。クライアントとすれば「高精度でロイヤル顧客を特定できますよ」と言われたら、是非話を聞かせて欲しいとなるのは当然です。実際にターゲティングした想定ロイヤル顧客に対し、アウトバウンドなどマーケティング施策を打ったところ、従来に比べ2~3倍の成果が出た成功事例もあり、再現性のあるデータマーケティングの提案として我々の勝ち筋になりつつあります。
株式会社ブレインパッド及び株式会社シグマクシスの2社とも協業を進めています。データ活用のSaaS製品、コンサルティングサービスとそれぞれ異なる得意分野で一定の評価を得ており、これまでできなかったトップダウン型の営業を進めるうえでも、大きな効果を発揮しています。
マーケティングセンター化に向けてコミュニケータをリスキリング
今後のビジョンについて教えてください
カスタマーサクセスを実現していくうえでは、表面的な課題の裏にある顧客の真のニーズを聞き出すコミュニケーション力や分析力 、それをWebサイトの導線改善やマーケティング施策につなげる発想力、クライアントのマーケティング部門に向けた発信力や提案力 、さらには、現場のコミュニケータの役割も変えていければいいなと考えています。パートナーと連携しながらリスキリングに力を入れて、多くの人材がクライアントのマーケッターに互する未来を目指します。