Vision 成長戦略のパートナーとして、一次産業の業務改革を加速する
一次産業に特化したソリューションから見えた社会的意義
一次産業への参入を決断したきっかけを伺えますか
私はもともと金融・保険業界を担当しており、一次産業との関わりはありませんでした。しかし、中長期経営計画に基づいて成長戦略の新たな柱を探すなかで、思い至ったのが「一次産業」というキーワードです。一次産業は慢性的な人材不足に悩んでおり、業務課題も山積しています。その分、成長の余地は大きく、参入する価値が高いと考えました。
そのなかで株式会社Eco-Porkと知り合ったのですが、同社の顧客である養豚農場の見学に同行した帰り道に、社長が世界におけるタンパク質不足の問題、農場の人手不足、デジタル化の遅れなど業界が抱える課題を解決できるビジネスの社会的意義について熱心に語ってくれました。その話に感銘を受けて協業についての話し合いを重ね、最終的に資本提携に至りました。
現在はもう1社、NTTテクノクロス株式会社と提携し、牛の起立困難予防声掛けAIサービス「BUJIDAS」を提供しています。株式会社Eco-Porkでの一次産業BPOの実績から、他社ではなくベルシステム24に声をかけていただきました。当時の私は、養豚は学んだものの牛については分からないことばかり。「牛は横になると、お腹にガスが溜まり死に至るケースがある」など初めて聞く話も多かったのですが、深刻化している畜産農家の業務環境を改善するためになにができるのか、NTTテクノクロス株式会社の事業部長と語り合ったことをよく覚えています。
共通するのは"熱意"。ベルシステム24の得意分野で支援する
ベルシステム24が一次産業を手がける意義は、どこにあるのでしょうか
サービスの対象も企業規模も異なる2社ですが、共通するのは「一次産業の現場が抱える課題を、なんとか解決したい」という熱意です。一次産業が抱える課題は、食料自給率・安全保障や環境問題など社会全体の課題につながるところも大きく、この課題解決に参加することには大きな意義があると考えています。
また、我々は何十年もクライアントに併走してBPOサービスを提供してきました。ITリテラシー習得や人手不足の緩和など、畜産農家が抱える課題の解決に必要なソリューションは当社の得意分野でもあります。特にデジタル化への苦手意識が強い・導入しても使いこなせないといったケースの支援などはまさに強みとするところで、デジタル化推進にも寄与できるはずだと感じました。

株式会社ベルシステム24 第4事業本部 事業部長 澤頭 仁志
成長戦略を支えるパートナーとして、期待に応える支援を
関わり方は企業ごとに大きく異なるのでしょうか
30名ほどのスタートアップ企業である株式会社Eco-Porkはとにかく人材が足りておらず、「完成したサービスをどう売るか」という課題を抱えていました。そこで、現場に近い領域の支援を中心に、手間がかかっていたIT導入補助金の申請や導入後の利用方法レクチャーなどの作業を当社で巻き取り、営業活動に注力できる体制を整えていきました。
一方、NTTテクノクロス株式会社からは、Porkerでの実績から「一次産業のBPOについて理解している」ことを期待されていました。もともと技術の会社であり、新たなプロダクトを市場に導入する営業力・販売力に課題があったことから、営業や代金回収のスキームまで含めて、事業計画立案の段階から参画しました。どちらも、ソリューションを拡販して定着させるまで、成長戦略のパートナーとしての役割を期待されています。
こういった業務については、これまでのBPOとの共通点は少ないように見えますが、「おこなうべき処理のフローを作成し、だれでも同じように動けるよう教育する」といった"型化"のプロセス自体は変わりません。課題さえ分かれば、解決策を見いだせるはずだと思っています。
一次産業BPOの先駆者として、業界全体を改革へ導く
今後、一次産業BPOとして目指すことを教えてください
一次産業では我々が価値提供できる領域は大きいと感じています。徐々に畜産農家が抱える課題が明らかになってきたため、今後は解決策のサービス化を進めます。例えば、IT導入補助金だけでなくふるさと納税などの申請サポート、また畜産に限らず、漁業や農業などほかの領域への支援も検討しています。
同業他社でも一次産業BPOを手がけている企業はまだありません。実績が次のステップへとつながるはずですから、先駆者としての強みを活かして一次産業BPOにおける存在感を高めていきます。