Vision 型化メソッドに潜んでいた価値を、顧客にサービスとして提供する
型化することで、業務の再現性を担保する
「型化」とはどういうものなのでしょうか
型化とは、一定以上のスタッフが集まったときに、だれもが同じ対応をできるようにする「再現性」を担保するために業務を型に落とし込むことです。コンタクトセンターの現場では、長年自然に取り組んできたことであり、ベルシステム24のDNAとして根付いています。
規定されたプロセスやマネジメントがないと、仕事は属人化しがちです。もちろん、個人の高い能力発揮が求められる局面もありますが、コンタクトセンターやBPOなどの事業では、属人性を排除し、均一な状態で提供することがより強く求められます。働き方や個性を尊重することと、仕事のクオリティを両立する方法の1つが型化であり、ベルシステム24の事業成長を支えてきた最大の要因だと考えています。
型化のプロセス自体を「BPRコンサルティング」としてサービス化
「型化メソッド」はどのように新たなビジネスにつながるのでしょうか
コンタクトセンターやBPOにおいて、受託を開始する時点では要件や仕様があいまいで、ヒアリングやアセスメントをもとに型化するところから始まるケースが多くあります。あるとき、クライアントから相談されたことがきっかけで、我々が当たり前に続けてきたプロセスはある種のコンサルティングであり、新たなビジネスとしてお客様に価値を提供できるのではないかと気づき、3年ほど前に「BPRコンサルティング」としてサービス化しました。同時に社員のスキルアップ・リスキリングも進め、現在では約100名のコンタクトセンター運用経験者がコンサルタントとして活躍しています。
BPRコンサルティングでは、大手コンサルティング会社がおこなう事業戦略や経営課題などの領域とは異なり、「営業部門の残業が多い」のような業務レベルの課題を対象としています。大きな投資と期間をかけずに業務改善を実現できる"ちょうどいいコンサルティング"としてクライアントにも評価いただいています。また、提案して終わりとなる一過性のサービスではなく、提案後のフォローまで継続的に伴走することが強みです。

株式会社ベルシステム24 執行役員 CIO 長谷川 文彦
在宅オペレーションや採用代行など、新たなビジネスを創出
ほかにも型化メソッドをビジネス化したケースはありますか
1つ挙げられるのは、コンタクトセンター事業における在宅オペレーションです。コロナ禍で急速にニーズが高まり、高いセキュリティを施したシステムから採用・研修・雇用契約まですべてを型化し、短期間で多くのクライアントの業務に導入しました。コンタクトセンターの案件では在宅オペレーションを必ず提案に入れるようになり、大きな武器になっています。
ほかにもコンタクトセンター事業で培ってきた採用のノウハウやメソッドを型化し、採用代行のサービスも立ち上げています。当社が受託する業務で磨いてきた型化のプロセスを、抽象度を高めることでサービスとして外販できるようになりました。これを標準化サービスと呼んでいますが、「型化メソッドをサービス化する」プロセス自体も型化していますし、あらゆる業務にビジネスの種があると感じています。
型化のノウハウを社内で連携する仕掛け
型化を全社的に推進するための取り組みについて教えてください
当社のDNAでもある型化は、多くの業務現場で日常的におこなわれている反面、横の連携が弱く各現場に閉じてしまいがちな面もありました。そこで、チャットツールを活用した交流の場を設けるなど、日々の現場の知恵を集約するとともに、新しい知恵が出るような環境づくりを進めています。さらに、スキルやノウハウの掛け合わせ・共有が加速するよう、定期的な人材ローテーションもおこなっています。
また、年1回の社内アワードで各部署から型化の取り組みを集めて表彰する際には、他部署にも展開できる「流用性」を重視しています。実際、表彰された部署には問い合わせが多く寄せられ、全社へと広がっていく流れができているように思います。
型化メソッドを新規ビジネス創出へつなげる流れを加速
今後、どのように型化メソッドは進化していくのでしょうか
これまで現場で自然とやってきた型化から、新たなビジネスを創出できるという気づきから、積極的に進化させようという雰囲気が醸成されてきました。型化メソッドを発展させ、我々の得意技をお客様に提供できる価値にまで昇華させることで、新たな領域でのBPOでの価値向上にもつながるはずです。