Vision "変革なくして成長なし"が浸透し、全社売上の2割弱を占めるまでに
ベンチャーとのアライアンスで1+1=3を目指す
ベルシステム24がアライアンスを重視する理由について教えてください
当社はコンタクトセンター業務を通じて、長年、運用の標準化やVoC(Voice of Customer)の知見を蓄積してきましたが、世の中では生成AIなど先端技術を駆使した様々な領域で変革を仕掛けるベンチャーが増えてきました。総合BPOパートナーを目指す当社としては、お客様の変革ニーズを満たしていくうえで、こうした新しいアイデアを活用しない手はなく、ベンチャーとのアライアンスのメリットが大きく顕在化してきたという外的要因があります。
一方、内的要因としては3つほど挙げられます。まず1つ目、当社のステークホルダーでもあり、先んじてアライアンスを進めてきた、伊藤忠グループおよびTOPPANグループからの紹介案件です。出資や協業などアライアンスの相談や紹介など多数の案件が寄せられるのに加え、現場からも、顧客から相談を受けたアライアンス案件が毎日のように上がってくるようになりました。2つ目は、事業開発のスピードです。新しい技術や独自のアイデアでこれまでなかったものを生み出すベンチャーのアプローチと、当社が持つ運用ノウハウを組み合わせることで、変革を加速することができます。3つ目は、社員の成長に向けた機会の創出です。
当社の業務はクライアント企業のフロント業務(顧客対応)が中心ですが、資本提携に至るケースでは人材を拠出しており、その人材が事業戦略を企画・実行することで、経営に近い上流業務にハンズオンすることで、成長につなげます。
"攻めのアクションに落とし込めるか"を判断して柔軟に対応
パートナーと良好な関係を築くうえでの工夫はありますか
アライアンスについては"お互いが納得できる攻めのアクションに落とし込めるか"を重視してアプローチを変えています。重点施策が一致したところとは深く組み、一致しなかったところとは、まずは協業から始めてお互いに見極めるといった準備運動から入ります。
前回の中期計画の一つの柱として「信頼と共創のパートナー成長」を掲げたことで、この4~5年で"変革なくして成長なし"というマインドセットが社員の間で広く浸透し、積極的なアライアンスを通じて新たな事業を創出することをよしとする企業文化が定着してきました。また、当社ではベンチャーに対する経営効率化を含めた支援も行っており、こうした包括的なサポートも含め、ベンチャーから見ても魅力のあるアライアンスに映っていると考えています。

株式会社ベルシステム24 事業開発本部長 杉原 裕介
"Innovation is Collaboration"の考え方でアライアンスを加速
これまでのアライアンスの実績や今後のビジョンについて教えてください
アライアンスによる国内外での複数の新規事業がすでに始動しています。国内では、ステークホルダーである伊藤忠グループとの資本提携による「CTCファーストコンタクト株式会社(以下CTCFC)」、同じくTOPPANグループとの資本提携による「TBネクストコミュニケーションズ(TBNC)」のほか、一次産業の2社との業務・資本提携や、自治体向けにサービスを提供する企業との業務提携で住民サービスの質や効率向上を進めるなど、当社がこれまでリーチできていなかった業種・業界とのアライアンスによる多角化にも注力しています。また海外でも、ベトナム、タイ、台湾での事業化を進めており、現地市場でのBPO事業や国内からのオフショア事業を展開しています。
国内・海外を合わせたアライアンスを通じて創出された売上は、ベルシステム24グループの売上の2割弱を占めるまでに成長しました。これまで当社が中心になってアライアンスを進めてきましたが、今後はこれらの事業会社がフロントに立ってアライアンスを進めていくことも想定しています。本来、事業開発の機能・役割というのは、特定部門だけが持つのではなく、全社・全員で担うべきだと思いますが、いざ業務提携・資本提携となると、財務・法制度対応などプロフェッショナルな領域での支援が必要になってきます。アライアンスによる事業開発を加速していくためにも、そうした支援を強化していきたいと思います。