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気候変動への対応

1. 方針・基本的な考え方

気候変動に対する個別方針

  • 当社は、気候変動問題を経営の重要課題の一つとして捉えています。当社は、環境方針において「事業からの環境負荷の低減」を明確に定めています。2022年4月には取締役会の議決として、2025年、2030年、2040年までの温室効果ガス(GHG)排出量削減率の具体的な目標値を策定しました。パリ協定や日本のNDCを踏まえた上で、更に積極的な2040年のカーボン・ニュートラルの実現を目標としています。気候変動問題への対応を当社の成長機会としてとらえ、持続可能な社会を目指し今後もより積極的な対応を推進していきます
  • 当社は、エネルギー使用量の削減並びに代替エネルギーの使用などによる企業の持続性の両立が重要な課題であるととらえています。2023年4月に発表した最新の中期経営計画(2023~2025年)においては、当社が2022年に制定した「気候変動に対する方針」に基づいて、2025年までの短期に2019年対比で温室効果ガスの排出量を30%削減する目標を設定しています。当社は、温室効果ガスのみではなく、すべての使用エネルギーについて、使用量の削減や、ビジネスモデルの変革によるエネルギー効率の改善を積極的に進めていきます

2. 気候変動によるリスクのガバナンス

  • 当社は2019年にマテリアリティ及び環境方針を取締役会で議決しました。マテリアリティの中では解決すべき社会課題の1つとして環境保護を定義しています。気候変動への対応がグローバルで進む中、当社は気候変動が経営や社会に及ぼすインパクトを評価し、カーボン・ニュートラルを柱とした積極的な対応を今後も推進していきます。また、これらのマネジメントを適切かつ効果的に行うガバナンス体制を構築しています
    • サステナビリティ管掌役員(CSO)を配置し、配下に専任の常設部署としてサステナビリティ推進部を置き、気候変動に関するリスクの分析、施策の立案と実行、効果管理等を継続的に行っています
    • 気候変動担当の取締役を配置し、取締役会の責任を明確にしています。また、気候変動のリスクを含めたグループ全体のリスクマネジメント担当の役員(CRO)も配置しています。気候変動に関するリスクは年に1回以上、全体リスクとともに代表取締役が議長である取締役会に報告が行われます。取締役会では総合的な全社のリスクを把握し、重要度を判断し、中長期のロードマップに反映させるとともに施策の実行状況の監督が行われています
    • 体制図
      気候変動リスクに対するガバナンス体制図

3. シナリオ分析と戦略

  • 当社のビジネスモデルは、いわゆるコール・センターのモデルが売上のほぼすべてを占めます。約40拠点のうち自社資産は1拠点であり、それ以外は賃貸契約のテナントとして、すべて屋内での操業を行っています。オペレーターは各拠点へ通勤して業務を行っており、一部は在宅型の業務となっています。売上と利益は基本的に従業員数及び拠点数に比例している度合いが大きいモデルとなります
  • 温室効果ガス排出の主な原因は拠点での電力消費と、従業員の通勤/出張となります
  • 将来の気温上昇が4℃のシナリオと2℃未満のシナリオを選び、リスク・機会の分析を行い、今後の戦略への影響を評価しました。また、今回取り上げたシナリオ以外のシナリオも広く参照しながら分析を行い、具体的な世界観のイメージを高めて検討を行いました
シナリオの定義
シナリオ 4℃シナリオ 2℃未満シナリオ
シナリオの世界観 パリ協定に基づいて各国で政策が実施されるが、平均気温が4℃程度上昇してしまう状況。気温上昇が引き起こす様々な事象が、事業に影響を及ぼす程度が高い社会 平均気温の上昇が2℃未満に抑えられ、エネルギーに関する構造転換が実現する状況。一方で転換のための移行コストの影響が事業に及ぼす程度が高い社会
参照したシナリオ 移行 IEA SPS (STEPS) 等 IEA NZE2050 等
物理 IPCC(AR6) SSP5-8.5 等 IPCC(AR6) SSP1-1.9 等

「IEA World Energy Model Documentation WEO2021」
「IPCC AR6 WG II - Climate Change 2022」

戦略立案のためのシナリオ分析

  • いずれのシナリオにおいても、当社の財務に対する大きなマイナスのリスクは短期的(~2030年)にも中長期的(~2040年)にも無いと判断しました。当社の事業モデルは、環境への或いは環境からの影響が極めて小さいと考えます
  • 一方で、社会的責任や営利事業の本来あるべき姿を真摯に考え、当社は気候変動について積極的な対応を今後も続けていきます
  • 戦略への示唆
    • 移行コスト増加により生じる可能性のある、価格上昇を原因とする需要減少は軽微である
    • 拠点被災等の物理的被害の増加による稼働率低下はコントロール可能な余裕範囲に留まる
    • 気温上昇による当社サービスへの需要及び収益への直接の影響は小さいが、気候変動への対応不足によるブランドや人材採用への影響はコントロールを強化すべき要素である
    • 総合的にみて当社が気候変動に対して積極的な経営姿勢を持つことにより機会がリスクを上回るととらえる
シナリオの分析結果(リスクと機会)
リスク項目 視点の例 分析 (~2040年) 影響 対応方針
リスク 機会 リスク 機会
移行リスク 政策 規制強化/開示義務拡大 エネルギー効率の上昇
  • 炭素税導入によるコストの増加
小 / -
  • 炭素税は売上の約0.1%程度であり、今後使用するビルや交通機関が脱炭素化されていくため、超えることは無い想定
技術 低炭素技術への入替/新技術への投資損失 低炭素関連技術の開発 (価値が低下する或いは座礁する様な技術はない)
  • 低炭素技術を活用した運営を広げることによる顧客からの選好の拡大
- / 小
  • 競合も同様のレベルになると想定されるため、大きな差別化要因にはなりにくい
市場 消費者行動の変化/原材料費高騰 新しい市場へのアクセス
  • エネルギー価格上昇による電力調達コストの増加
小 / -
  • オフセットのための再生エネルギー調達コストが割高になるが影響は小さい
評判 消費者選好の変化/社会からの批判 変化への積極的な対応による選好の拡大
  • 脱炭素化への対応の遅れによる評判の低下
  • 積極的な行動による選好の拡大と増益
  • 採用や離職率への好影響
小 / 小
  • 他社と同レベル以上の計画のため評判低下リスクは小さい
  • さらに積極的な姿勢をもつ
物理リスク 急性 異常気象の深刻化と増加 事業のレジリエンスがもたらす価値の増加​
  • 大雨や台風の災害による拠点機能停止に伴う売上減や復旧費用の増加
  • 災害に影響を受けないBCP機能向上による受託業務の増加
小 / 小
  • 各立地の災害マップや標高、過去の災害発生を評価予定
  • 在宅型事業モデルの拡大
慢性 平均気温や海面の上昇
  • 屋外作業における生産性低下
小 / -
  • 将来的に屋外業務の受託が増えた場合にリスクとなることを戦略的要因として認識する

4. リスク管理

気候変動リスクの特定

  • サステナビリティ推進部が各部門と連携してリスクと機会を洗い出して財務インパクトを評価すると共に定期的な見直しを行います
  • 例えば飲料業界(飲料の売上増)や製薬業界(感染症薬の売上増)、食品業界(原材料高騰)、エネルギー業界(大幅な事業構造変化)など当社顧客の業界のリスク分析結果を参照し、業界別の当社への影響を評価していきます

全社リスク管理との関連

  • リスクマネジメント部が管掌する全社のリスク管理体制と、サステナビリティ推進部が管掌する気候変動に関するリスク管理を連動させてリスクマネジメントを行います
  • 気候変動に関するリスクについてはサステナビリティ推進部の分析をふまえ、両者が共同で重要度や影響度の分析を行い、対応策の策定を行います。その結果は、代表取締役が委員長を務めるサステナビリティ推進委員会へ報告されます
  • 重要な事項については、サステナビリティ推進委員会より取締役会へ年1回以上の報告を行います
  • 取締役会の方針に基づいて中長期計画等への反映を行い、ロードマップを随時修正していきます

インターナル・カーボン・プライシング制度(ICP制度)の導入

  • 当社ではインターナル・カーボン・プライシング制度(ICP制度)を導入しました。ICP制度を用いて、大規模な設備投資に伴う温室効果ガスの排出量を費用換算し、排出量削減に対する経済的インセンティブを創出し、設備の選択や投資の判断材料とすることで、事業活動における低炭素投資の促進、排出量削減目標達成向けた取り組みの拡大を行います。また、社内における脱炭素への意識向上や、日常業務における取組の拡大を図っていきます
  • ICPはIEA文献値を参考として、適正に毎年度設定します(2023年度 7,000円/t-CO2)

5. 指標と目標

  • 当社は「気候変動に対する方針」に基づき、2040年までにカーボン・ニュートラル(ネット・ゼロ)を目指します。その実現に向けた具体的な各年度の目標値や実績値は定期的に開示を行います
  • 当社はパリ協定に賛同し、1.5℃の世界を実現するために、2040年カーボンニュートラルに向けた活動を行っています

    気候変動に対する方針と参加イニシアティブ(PDF)

    温室効果ガス(GHG)削減目標と進捗*1
    目標 進捗
    2030年度 50%削減*2 2023年度末時点の目標*3に対し達成済み
    • *1 対象:Scope1-3
    • *2 基準年:2019年
    • *3 基準年の20%削減
  • カーボン・ニュートラルの実現に向けては、削減活動と同時に、太陽光発電/風力発電等のクリーンエネルギーの全面的な利用を進めます
  • 使用エネルギーの削減目標 (事業用施設での電力使用量) - 年平均1%以上の削減を目標とする
    削減実績
    2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 5年度間
    平均原単位変化
    エネルギーの使用に係る原単位 0.04308 0.04111 0.04 0.0393 0.0378
    対前年度比(%) 95.4 97.3 98.3 96.2 96.8
  • TCFDの提言に沿った気候変動に関連するリスク・機会及び、当社への影響を開示しています
  • SB1.5℃認証を取得しています(2023年12月認定取得)
  • CDPへの情報開示を2022年から行っています(2023年度回答済み)
  • 本社、中部、神戸、東北他、計10拠点にて2022年度より再エネを導入済み(817万kWh/2023年2月末実績)
  • 神戸ソリューションセンターは2022年度、松江ソリューションセンターは2023年3月に再エネを導入いたしました

6. 参加しているイニシアティブ

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言へ賛同

TCFD
当社は、金融安定理事会(FSB)が設置した「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)*1」の提言に賛同を表明しました。
TCFDの提言に沿って、気候変動に関するリスクと機会が当社の事業活動、経営戦略、財務計画に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、情報の開示を行っています。

Science Based Targets Initiative(SBTi)の認定取得

SBTイニシアティブ SBTイニシアティブ
SBTiは、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(SBT)」を認定する国際的イニシアティブであり、 世界自然保護基金(WWF)、CDP 、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトの4団体が共同で設立しました。「地球の平均気温上昇を産業革命前と比べ、 1.5℃に抑える」という目標に向けて、科学的根拠に基づいた削減目標を企業に働きかけています。当社は、2023年12月に認定を取得しました。

「COOL CHOICE」に賛同

COOL CHOICE
当社は、温室効果ガス削減目標を達成するための国民運動「COOL CHOICE(クールチョイス)*3」に賛同しました。
当社では、COOL CHOICEに賛同し、気候変動に対する方針で表明した温室効果ガス削減目標の達成に向け、今後、様々な取組を行っていく予定です。
  • *1 TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)は、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース」です。TCFDは2017年6月に最終報告書を公表し、企業等に対して気候変動関連リスクおよび機会に関する項目について開示することを推奨しています。
  • *2 SBTiとは、 WWF(世界自然保護基金)、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、WRI(世界資源研究所)、国連グローバル・コンパクトの4団体が共同で設立した国際的イニシアチブです。地球の平均気温上昇を産業革命前と比べ、1.5℃に抑えるという目標に向けて、科学的根拠に基づいた削減目標を企業に働きかけています。
  • *3 日本は、2015年に採択された「パリ協定」に基づき、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減、また、2050年までに全体としてゼロにするという目標を掲げています。「COOL CHOICE(クールチョイス)」とは、この目標達成のために、従来から実施しているクールビズ、ウォームビズといった取り組みにとどまらず、省エネ・低炭素型の製品・サービス・行動など、地球温暖化対策に資する、あらゆる「賢い選択」をしていこうという取り組みです。

7. データ

第三者検証

当社では、透明性・信頼性の高い環境情報を開示することが重要であると考え、2022年度より当社で開示するデータの第三者検証を受けております。
マークを付した以下のデータについては、SGSジャパン株式会社による温室効果ガス排出量算定の国際規格ISO14064-3に準拠した第三者検証を実施しました。

2022年度 検証意見書(PDF:1.66MB/5P)

温室効果ガス(GHG)排出量

Scope 1 + 2 GHG排出量(t-CO2) 2019年度(基準年) 2020年度 2021年度 2022年度
Scope 1 社用車(敷地外移動体) 6 4 5 5
都市ガス 124 92 77 64
Scope 1 小計 130 96 82 69
Scope 2 電気及び熱(温冷水) 10,085 10,665 11,009 9,544
非化石証書による削減 0 0 0 -3,068
Scope 2 小計 10,085 10,665 11,009 6,476
Scope 1 + 2 合計 10,215 10,761 11,091 6,545
※ 集計範囲:自社及びグループ会社の国内拠点
* 第三者検証():Scope1(敷地外移動体除く)・Scope2(非化石証書による削減前)のCO2排出量及びエネルギー消費量
Scope 3 GHG排出量(t-CO2) 2019年度(基準年) 2020年度 2021年度 2022年度
Category 1 購入した製品・サービス 11,910 13,840 12,720 17,419
Category 2 資本財 6,509 6,744 7,009 6,777
Category 3 Scope1,2 に含まれない燃料
及びエネルギー関連活動
1,702 1,811 1,757 1,795
Category 4 輸送、配送(上流) 398 557 357 525
Category 5 事業活動から出る廃棄物 7 7 4 4
Category 6 交通・出張 1,323 303 363 1,303
Category 7 通勤 6,078 5,756 6,171 7,606
Scope 3 合計 27,927 29,018 28,381 35,429
* 集計範囲:一部カテゴリーを除き、(株)ベルシステム24ホールディングス及び(株)ベルシステム24
      (Category2:連結の範囲、Category5:本社のみ、Category6:2022年度より出張中の宿泊による排出を含む)
* 第三者検証():Scope3 Category1-7のCO2排出量(事業特性上、Category 8-15は該当なし)

パフォーマンスデータ(環境)

電力使用量(千kWh) 2019年度(基準年) 2020年度 2021年度 2022年度
非再生可能エネルギー消費量 19,376 20,424 21,314 13,570
事業所 17,896 19,094 20,116 12,438
データセンター 1,480 1,330 1,198 1,132
再生可能エネルギー消費量 0 0 0 8,170
事業所 0 0 0 8,170
データセンター 0 0 0 0
電力使用量合計 19,376 20,424 21,314 21,740
2019年度(基準年) 2020年度 2021年度 2022年度
電力使用量当たり排出量(t-CO2/千kWh) 0.52 0.51 0.52 0.27
再生可能エネルギー比率(%) 0 0 0 37.6
2020年度 2021年度 2022年度
環境法令違反の有無 環境関連法令違反(件) 0 0 0
環境問題を引き起こす事故・汚染(件) 0 0 0
環境問題に関する苦情(件) 0 0 0